kirin87 MEMO

読書記録 の めも用紙

【愛なき世界】

愛なき世界/三浦しをん

 

 

 

洋食屋で料理修行中の青年と、植物の研究に没頭している女性のお話。

恋愛小説というよりも、お仕事小説という感じ。

 

わたしも
植物が好きなので、
いつか読みたいと思っていた物語。

 

 

 


台風で倒れた庭の花が
何日かたって
起き上がっているのを見ると、
頼もしさを感じるし、


春の山を走ると、
山のあちこちから
芽吹きの力が湧き出ているのを感じて
ぞくぞくする。


風邪を引きそうなとき
葛根湯を飲んで身体があたたまると、
植物の力に感激するし、


野菜スープを作るとき、
植物のおいしさに
とろけてしまう。


スパイスカレーを作るときには、
植物の刺激的な一面に
惚れ惚れする。


そしてなにより、
光によってエネルギーを生み出し、
大地に深く根を張り
たくましく
自立して生きている姿に
憧れてしまっている。


小説に登場する人々の
植物の溺愛ぶりとは比べ物にならないけれど、

わたしも、植物が大好き。

 

 

 

 


作中の、

植物は光合成をして生き、その食物を食べて動物は生き、その動物を食べて生きる動物もいて…、結局、地球上の生物はみんな、光を食べて生きている。

暗闇ではなく光を生きる糧とする。

 

という一節を読んだとき、

心があたたかさに包まれた。

わたしが植物を好きな理由の1つを
ぴたりと、
それも、
素敵な言葉で、
肯定してもらえたようで、
なんだか嬉しくなった。


愛なき世界は、
愛にあふれた、素敵な小説でした。



P.S.
この本を読んで改めて、
わたしがいつも走る山道の植物たちに
抱いている感情は、
「愛」であることを確信しました。